同じ個体の主稈と分げつおよび分げつ相互間に幼穂発育及び出穂日の差が生ずるメカニズムを明らかにしようと試みた. イネ3品種, 農林1号, 日本晴, 農林8号を供試し, 水田土壌を詰めたa/2000ワグネルポットに直播土耕法によって野外で栽培を行った. 葉齢指数約70- 90の時期に伸長した葉を展開完了時に剪除し, 止葉の葉鞘から穂の先端が5 mm以上抽出したものを出穂と認め, その日付を止葉に記入した. 成熟期に抜き取り, 分げつ節位別に出穂日を記録整理した. 分げつの葉を展開完了時に剪除するとその分げつの出穂が遅れたが, それぞれの止葉葉位はほとんど変わらなかった. 出穂に対する分げつ葉剪除の影響はその分げつに著しく見られ, 葉を剪除しない分げつへの影響は少なかった. 剪葉による分げつの出穂遅延は早生品種で著しかった. 二次分げつと一次分げつの出穂日の関係は一次分げつと主稈の関係に類似しているが, 二次分げつ相互間の出穂日の異なることが分かった. 主稈とその二次分げつの出穂日の差は, 晩生品種より早生品種の方が大きかった. 剪葉処理により一, 二次分げつともに出穂が遅れたが, 二次分げつは一次分げつよりも更に遅れ, この傾向は早生品種で著しかった. また, 二次分げつの場合も剪葉処理の影響は剪葉処理を受けなかった分げつでは少なかった. 二次分げつの止葉葉位は一次分げつより増加する傾向を示したが, 剪葉処理の影響は認められなかった. 葉齢指数90の時期の分げつ別の幼穂長が長いほどそれの出穂日が早く,剪一次, 二次分げつの出穂の早晩は幼穂分化の早晩に基づいたものであると推察された.
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