Abstract

2種類のfilterを用いて腎不全患者およびmodel回路においてhemofiltration (HF) を施行しcefotaxime (CTX) およびdesacetylcefotaxime (des CTX) の動態を検討した. FilterとしてPAN-50PとBK-1.0を使用した. HFの条件は血流量を100ml/min, 置換液量を腎不全患者では1,200ml/hr, model回路では180ml/hrの一定として, 5-6時間施行した. CTX, des CTXの濃度はHPLC法で測定した.Model回路による検討ではCTXのhalf-lifeはPAN-50P使用時で1.78時間, BK-1.0使用時で1.53時間であった. また置換液量1,080mlにおけるCTX濾過量はPAN-50P使用時で86.2%, BK-1.0使用時で90.9%であった. 腎不全患者での検討ではPAN-50P使用時には, CTX投与5分後, 5時間後の血清CTX濃度は145, 14.4μg/mlであり, 血清des CTX濃度は投与5分後11.2μg/ml, 4時間後に12.8μg/mlとなった. Half-lifeは1.80時間であった. 一方, BK-1.0使用時のCTX投与5分後, 5時間後の血清CTX濃度は150, 6.0μg/mlであった. 血清des CTX濃度は投与5分後12.9μg/ml, 2時間後に14.7μg/mlとなった. Half-lifeは1.26時間でPAN-50P使用時よりも短縮していた.したがって, CTXはPAN-50P使用時は蛋白結合freeのCTXのみが濾過されるが, BK-1.0使用時にはこれに加えて濾過される蛋白に結合しているCTXも濾過されるためにhalf-lifeが短縮したものと考えられた. これに対して, des CTXはBK-1.0でも濾過を受けないほど大きな分子量の蛋白に結合しているため, PAN-50P使用時とBK-1.0使用時で血清des CTX濃度に差がみられなかったものと考えられた.

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