慢性透析患者における血清ｃａｒｎｉｔｉｎｅ濃度とｃｏｉｌ ｐｌａｎｅｔ ｃｅｎｔｒｉｆｕｇｅによる赤血球浸透圧抵抗との関係

Abstract

慢性透析患者の血清carnitine (CAR) 濃度とcoil planet centrifuge (CPC) による赤血球浸透圧抵抗値との関係について検討を行った. 慢性透析患者26名 (男性10例, 女性16例, 平均年齢57.3±13.5歳) を対象に, 血清total-carnitine (TC), free-carnitine (FC), acyl-carnitine (AC) 濃度と赤血球浸透圧抵抗値を測定, 検討した. 血清TC, FC, AC濃度の平均値はそれぞれ, 39.9±13.4, 21.8±7.8, 18.0±9.6μmol/lで, 健康人の血清CAR濃度と比較してFCは低く, ACは高い傾向にあった. 赤血球浸透圧抵抗値は溶血終了点 (hemolysis end point: HEP) が67.4±5.4mOsM, 溶血最高点 (hemdysis maximum point: HMP) が86.3±5.4mOsM, 溶血開始点 (hemolysis start point: HSP) が101.2±4.4mOsMであり, 高浸透圧側に偏り, 脆弱性の亢進を示していた. rHuEPO投与群, 非投与群との間には赤血球浸透圧抵抗値の相違は認められなかった. rHuEPO維持投与量 (U/kg/week) と血清TC, FC濃度との間に, 有意な負の相関を認めた. また, 赤血球浸透圧抵抗と血清CAR濃度の関係では, HEPと血清TC, AC濃度, HMPと血清TC, FC濃度との間に有意な負の相関を認めた.透析患者では, 血清CAR濃度が低いと赤血球膜の脆弱性亢進, およびrHuEPO維持投与量の増加が認められ, CARと赤血球膜代謝との関連が示唆された.