Abstract

本研究は千島海溝地震の津波発生時に避難困難となる人口を推定した。その際には非積雪時,積雪時,凍結時,豪雪時における内閣府が定めた歩行速度を用いて避難困難地域の画定を行った。また,地震により土砂崩れが発生し,それによって道路ネットワークが途絶した場合も考慮した。この推定のために,本研究はGIS で道路ネットワークデータや建築物などのマイクロジオデータ(高精細でミクロな空間データ)を用いる方法を提案した。北海道東部の太平洋沿岸を対象地域として分析を行った結果,浸水想定域人口は,既存の研究結果より低い値となった。また,路面状況が悪化して歩行速度が低くなるに従い,避難困難人口が増加し,昼夜間の差や道路ネットワーク途絶の有無による差は小さくなった。これは,道路ネットワークの途絶があっても,路面状況によって移動距離が短くなり,迂回する時間的余裕がなくなることによると考えられる。 また,地形や人口分布の関係から,道路ネットワーク途絶の影響は自治体ごとに異なるため,画一的な避難対策では対応が難しいと思われる。このように,本研究で提案した手法では従来よりも精度の高い結果が得られ,それによって地域特性を反映した津波発生時の問題が明らかになった。

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