Abstract

九州地域のコムギ粗タンパク質含有率を増加させる手段として, 基肥及び1回目追肥の量を通常施肥量の72%に減じ, その分を穂孕み期に2回目の追肥として施す施肥法の有効性を調べた. 異なる粗タンパク質含有率を持つ16品種を用いた2ヵ年の試験で, 穂孕み期追肥区は対照区と比較し, 成熟期が全品種平均で約半日遅延し, 千粒重, リットル重が有意に増加した. 穂孕み期追肥に伴う千粒重の増加と粉の明るさの増加, リットル重の増加と製粉歩留の増加とは有意な正の相関関係が見られた. 子実収量に対する影響は年次および品種により異なった. 試験2年目の穂孕み期追肥により, 硝子率の増加がみられたが, 粒および粉品質の低下には結びつかなかった. 子実及び粉粗タンパク質含有率は有意に増加し, 粗タンパク質収量(子実収量×子実粗タンパク質含有率)も2年目に多くの品種で増加した. 一方, 子実および粉灰分含有率は有意に低下した. 粉の白さ, 明るさに対する穂孕み期追肥の効果は品種により異なった. しかし, 粉粗タンパク質含有量の増加した品種の多くは, 粉の明るさが低下した. 品種間の比較から, 穂孕み期追肥の粉粗タンパク質含有率, 粉灰分含有率への効果について, 粗タンパク質含有率の高い品種グループと低い品種グループ間での差異は見られなかった. 以上から穂孕み期追肥は, 九州地域におけるコムギの, 粗タンパク質含有率を増加させる手段として, 有効であることが判明した.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call