Abstract
体重管理不良な症例の心理社会的問題について検討した. 維持透析患者のうち平均体重増加率が6%以上の患者6名を体重管理不良群 (不良群) とし, この不良群と同じ透析条件でかつ平均増加率が4%以下の患者14名を体重管理良好群 (良好群) とした. 平均透析期間, 平均年齢に差はなく, 生化学値にも顕著な差はなかった.50項目からなる調査紙を用いて社会的環境状態, 透析に対する理解度を測定し, 心理的状態の測定にはY-G検査, 内田クレペリン検査, CAS検査 (一部下位尺度) を用いて両群を比較検討した.結果は, 1) 不良群は社会的役割, 家族関係ともに満たされた状態にはなく, とくに家族関係は良好群より有意に不良と考えられた. 2) 透析に対する理解力は不良群において良好群より劣っていた. 3) Y-G検査分類では不良群と良好群において特異な分類上の傾向はなかった. 4) 内田クレペリン検査では不良群の平均作業量は良好群より有意に少なく (不良群=D段階), 知的能力の問題を示唆された. また両群とも初頭努力がやや少なくとっつきの悪さが考えられた. 5) CAS心理検査では, 不良群は自己規制しにくく, フラストレーション耐性が弱いことが示唆された.以上より, 体重管理不良な症例では, これら心理社会的要因が相乗し, 積極的な透析生活への適応力が弱められていると考えられた.
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