活性炭等の多孔質吸着剤は揮発性有機化合物類(VOCs)の吸着除去や室内空気の清浄など様々な場面で使用されているが,近年特に問題となっているppbレベルの極低濃度のVOCsの活性炭に対する吸着特性はほとんど検討されていない.そこで,VOCsの気相濃度をガスクロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー付質量分析計等で測定することで極低濃度の平衡吸着量を容易に測定できるヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HSGC)法を用いてVOCsの活性炭に対する吸着平衡の測定を行い,その有効性を検討した.まず,HSGC法と容量法による吸着等温線を比較し,HSGC法による吸着等温線の信頼性を確認した.次に3種類の活性炭,6種類の代表的なVOCsの幅広い濃度範囲での吸着等温線を測定し,TothおよびDubinin-Radushkevichモデルで解析を行い,HSGC法において極低濃度吸着等温線の測定が可能であることを示した.さらに,HSGC法を用いれば容易に多成分系へ拡張が可能であるためジクロロメタン-トリクロロエチレンの2成分吸着平衡を測定した結果,その吸着量は理想吸着相理論(ldealAdsorbedSolutionTheory)による計算値とよく一致した.したがって,HSGC法を用いれば容易に正確なVOCsの極低濃度の単成分および多成分系吸着等温線の測定が可能であることを示した.