【目的】ハーブサプリメント(HS)の安全・安心な利用の原点は,安全性・有効性の科学的根拠に基づく利用である。これに資するため,日本で人気の高いHS素材を調べ,その安全性・有効性の評価について日米間で比較・検討し,日本での利用状況,また情報源やその提供の問題点を探り,論考する。【方法】売上高上位20素材を年次別(2009年・1999年),国別(日米)にリストアップし,冊子体Natural Medicines Comprehensive Databaseの2010版(NMCD)による安全性・有効性の評価を点数化し,解析・検討した。【結果】同国間で人気のある素材は10年間を経ても大きな変化はなかった。日米で重複する素材は5~7品目あった。NMCD未収載品は,日本では両年3素材,米国では1999年に1素材あった。安全性評点には年次別・国別間に有意差はなかった。有効性評点は日米間の差が大きく,両年とも米国の評点が高く,日本のリストにはNMCDにより情報不足と評価されている素材が多かった。また,日米で重複のない素材は,重複する素材よりも全ての評点が有意に低かった。【結論】日本で人気の高いHS素材は,NMCDの評価によると米国よりも有効性の科学的根拠が低い。日本特有の素材はNMCDによる評価を受けていない素材が多く,日本では,適正な情報提供によらずにHS素材が利用されている可能性が示唆された。日本の現状に即したデータベース構築,アドバイザリースタッフ養成等を含め,レギュラトリーサイエンスの観点からの取組みが必要と考える。