本研究では, 減圧加熱下における溶融飛灰からの重金属塩化物の揮発特性を, 実溶融飛灰および模擬飛灰を用いて実験的に検討した。その結果, 減圧加熱下における単一重金属塩化物 (ZnCl2, PbCl2, CuCl) の揮発速度は, 減圧度の増大に伴って増加した。一方, ZnCl2-PbCl2-CuCl混合物からの各重金属塩化物の揮発速度は, 単一重金属塩化物のそれよりも小さくなり, 試料中重金属の含有量の減少に伴って減少した。このときの重金属塩化物の揮発速度は, 試料中の重金属濃度の1次式で表された。さらに減圧加熱下における重金属塩化物の揮発挙動に及ぼす灰組成の影響を調べた結果, ZnCl2揮発量は, Al2O3含有量の増加に伴って減少した。また, NaCl, KCl, CaCl2の共存によって, 溶融飛灰中重金属の揮発量は, NaCl, KClおよびCaCl2を含有しない模擬飛灰に対して0.27~0.65倍となることが認められた。