Abstract
本研究のねらいは,国勢調査の「不詳」が増加したシナリオを立て,データから観測される指標の地域差がどのように本来の姿からずれてしまうのかを可視化することである.東京大都市圏の市区町村を対象に,(1)年齢階級別の比例按分と(2)属性間の不詳率比に基づく重み付け按分を用いて,2015年国勢調査による未婚率と短期居住率を不詳率の異なるシナリオ別に推計した.その結果,いずれの指標も不詳率が0のシナリオでは都心部で高く周辺部で低い地域差が明瞭であったが,不詳率が1.5倍や2倍に増加したシナリオで推計した地図を見ると,そういった地域差は縮小・消失して見えることが可視化された.このことは,今後さらに「不詳」が増加することで,疑似的な地域差が生じる蓋然性が高まることを意味する.不詳率の高い項目や地域において国勢調査を利用する場合には,結果の慎重な解釈や補正データの利用が求められる.
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