Abstract

ダイズ不耕起播種栽培の収量性と改善方向を明らかにする目的で,筑西市田谷川土地改良区の大規模農家において全刈りによる収量調査と広域的な苗立ち調査を実施するとともに,GPSを用いて作業履歴の収集を行った.慣行播種栽培における苗立ち不良は,排水性の低い地区の圃場で,かつ播種1-3日後に降雨があった条件に限られるのに対して,不耕起播種条件では田谷川土地改良区のほぼ全域で見られ,播種から次の降雨(10 mm以上)までに7日間以上の間隔があっても苗立ち不良が発生した.また,現地圃場における耕起・播種法の比較試験でも,小明渠浅耕播種や慣行播種で良好な出芽・苗立ちが得られたのと対照的に,不耕起播種では有意な出芽率の低下と茎疫病による出芽後の枯死株の発生が見られた.重回帰分析の結果,苗立ち不良と播種期の遅れは子実収量の減収要因として有意性を示し,特に前者の影響が大きかった.耕起・播種法ごとに得られた播種日と子実収量との回帰直線には耕起法間で有意差は見られず,不耕起播種と慣行播種の間で収量性に違いがあるとは言えなかった.播種日と子実収量との回帰式を用いて播種日の影響を補正し,圃場ごとの相対収量を算出したところ,減収程度の大きい圃場および多収を示す圃場は特定の地区に偏って分布した.この減収程度の分級をもとに収量改善のための対策を論議した.

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