Abstract

水稲の孤立個体における主茎と分げつとの生長の相互関係を葉齢に着目して調べた. 個体の齢を表す「葉齢」を分げつの齢を表すのにも用い, 各分げつの葉位を, 主茎の同伸葉の葉位で表したものを各分げつの相対葉位と規定し, さらに, 相対葉位で表した各分げつの葉齢を相対葉齢と規定した. これにより, 主茎と各分げつ間の生長の比較が可能となった. また, 同伸分げつを位置づける相対分げつ位(RTP)を規定し, これにより相対葉位を算出した. ポットに1個体植えした水稲品種ササニシキ, トヨニシキ, アキヒカリに肥料を充分に与え, 湛水状態で育て, すべての葉に印をつけて観察した. 初期に出現した分げつには, 主茎同様に出葉転換期が認められ, 生理的な変化が個体全体でほぼ同時期に起きたことが示唆された. 栄養生長期後半の観察では, 同一日には分げつ次位が高いほど, 相対葉位の高い葉が出現し, それに伴いRTPの高い嬢分げつが出現した. 各分げつの相対葉齢から主茎の葉齢を差し引いた差を相対葉齢差(D)と規定すると, Dは生長とともに直線的に増加し, 播種後94日目, 止葉の抽出直前に最大となった. また, Dは分げつ次位が高いほど大きく, 各時期におけるDは, ほぼ分げつ次位に比例して増大した. Dの値の大きさには, 品種間で差が認められた.

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