Abstract

東京大学農学部附属農場において, 1980年より, 瘠薄な心土を用いて造成された畑地の肥沃化過程に関する研究を, 表土(黒ボク土)との比較のもとに開始した.化学肥料の施用の有無と, それぞれに堆厩肥施用2段階および堆厩肥無施用区の計6処理区を表土区と心土区に設け, トウモロコシ-オオムギ-ダイズ-オオムギの2年4作の作付けを行った.化学肥料のみを施用した表土区を標準区として, 乾物収量の比較を行った.その結果, 化学肥料を施用した区においては, 表土区では収量に対する堆厩肥施用の効果は認められなかった.また, 心土区においてはトウモロコシの収量にはやや相加的な効果が認められたが, オオムギ・ダイズでは認められなかった.このことは, 堆厩肥の連用に伴う土壌中の有機物含量の増加が収量の増加に結びつき難いことを示しており, 堆厩肥の収量に対する効果という観点と環境負荷という観点からさらに検討する必要があると考えられた.また, 堆厩肥のみを施用した場合には, 表土区においても標準区と比較して低収量であり, 心土区においてはさらに低い収量であった.しかし, 試験の継続に伴って徐々に上昇し, 15年程度の連用で, 表土区においては堆厩肥少量施用でも, また, 瘠薄な心土区では多量施用により化学肥料施用区に匹敵する収量が得られるようになり, 心土区と表土区との差異が認められなくなることが明かとなった.

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