Abstract

アルミニウム電極のク形波交流分極曲線を測定し,得られた結果を直流分極下における性質と比較検討することによって,ハロゲンイオンによるアルミニウムの陽極溶解反応の機構を推論した。ハロゲン化アルカリ水溶液(0.1~1mol/l塩化ナトリウム,1mol/l臭化ナトリウム,1mol/lヨウ化ナトリウム)中でのク形波交流分極曲線より,電極電位はアノード電流が流れ始めた直後には皮膜形成電位に近い値Efを示し,ある時間tcが経過するとハロゲンイオンによる陽極溶解の電位Ecに変化することが判明した。アノード分極の半周期内に観測されるEfからEcへの顕著な電位飛躍は,ハロゲンイオンを含む水溶液に特有のもので,ハロゲンイオンの種類や濃度によらずほとんど同じ傾向を示す。EfおよびEcの値は電流の増加とともに正の方向へ移動する。また,Ecの値はハロゲンイオンの濃度の減少とともに正の方向へ移動し,同一濃度のもとではCl-,Br-,I-の順により正の値を示す。アノード分極の際のEfからEcへの変化は,陽極での主反応が皮膜形成反応からハロゲンイオンによる陽極溶解反応への移行に対応するものであり,その機構はつぎのように考えられる。すなわち,ハロゲン化ナトリウム水溶液中ではアルミニウム表面には酸化皮膜γ-Al2O3とβ-Al2O3・3H2Oが生成すると考えられている。アノード分極とともにハロゲンイオンはβ-Al2O3・3H2Oの部分をとおって内部へ浸透しはじめ,ある時間teののちアルミニウム金属面に到達してアルミニウムを局部的に溶解する。したがって,ハロゲンイオンによるアルミニウムの溶解は局部的な蝕孔溶解であり,tcは巨視的な蝕孔の核の発生に要する緩和時間であると考えられる。

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