Abstract
弱酸性陽イオン交換樹脂である Amberlite CG-50 を用いて,塩化ナトリウム水溶液中におけるアントラキノンスルホン酸の吸着性を検討し,塩化ナトリウム溶液の濃度およびpHを適当に選択することによって異性体の間に吸着性の差が生じることを見出した.これを利用して,アントラキノンを水銀触媒の存在下でスルホン化した場合に生成するα-モノ,1,5-,1,6-,1,7-および1.8-ジスルホン酸を4Nおよび 0.5N,pH 1.8の塩化ナトリウム溶液で,また,α-およびβ-モノスルホン酸を0.1N,pH 2.7の塩化ナトリウム溶液でそれぞれ展開して,クロマトグラフ的に分離し,吸光光度法により定量を行なって良好な結果が得られた.本法は塩析クロマトグラフィーの一種であり,異性体の分離に有効であることを認めた.アントラキノンスルホン酸異性体を相互に分離,定量することは,従来の方法ではかなり困難な問題であった.しかし,以上述べたように微酸性の濃厚な塩化ナトリウム水溶液中において,弱酸性陽イオン交換樹脂に対する分子吸着を利用することにより,容易にしかも定量的に分離することが可能であった.本法を他のクロマトグラフ法と比較すると,ペーパークロマトグラフィーではRf値の再現性がわるいため定量的な分離が困難であり,展開液の選択がむずかしい.アニオン交換樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフィーでは,異性体の分離はできない.またアルミナ,シリカゲルなどを用いる吸着クロマトグラフィーと異なり,カチオン交換樹脂を吸着剤として使用するため,単なる水洗のみで再生され,くり返し使用が可能であり,展開剤の濃度,pHが一定であれば,いつも一定の保持容量を示し,異性体の分離能もすぐれている特徴がある.
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