Abstract

ビール大麦種子貯蔵蛋白質ホルデインによる麦芽品質の選抜の可能性を明らかにする目的で、麦芽品質とホルデイン遺伝子型との関係を調査した。日本のビール大麦115品種・系統のホルデインをドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミトゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析し、Cホルデインの遺伝子型を同定した。日本のビール大麦のCホルデインには6種類の遺伝子型があった。そのうち5種類は既知の遺伝子型のBr型、Cl型、Ha型、Ma型、Pr型であり、1種類は新たな遺伝子型(Mi型)であった。日本のビール大麦における遺伝子型の割合は、Br型をもつ品種・系統が最も多く全体の41.7%を占めていた。また、Cl型は福岡島総試および栃木農試栃木分場の近年の育成系統に多くみられた。Cホルデイン遺伝子型と麦芽品質項目との間には、コールバッハ数、ジアスタゼカ、最終発酵度、総合評点に有意差があり、Br型、Cl型をもつ系統が麦芽品質が優れていた。また、Cホルデインの個々のサブユニットと麦芽品質との関係では、Br型、Cl型を構成するサブユニットが麦芽品質が優れる傾向にあった。さらに、Cホルデイン遺伝子型の異なる(Mi型とCl型)品種間F1から bulbosum法により作出した半数体倍加系統(DHLs)37系統を用いて、Cホルデイン遺伝子型と麦芽品質との関係を調べた結果、Cl型をもつ系統はジアスターゼカが高かった。以上の結果がら、CホルデインではBr型、Cl型が麦芽品質に優れ、Cホルデインによる麦芽品質の選抜の可能性が示唆された。

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