Abstract

イネにおいて, 1穂穎花数に品種間差異をもたらす要因を明らかにするための端緒として, 茎葉諸形質と幼穂分化期における生長点付近の大きさおよび穂関連形質との関係を調査した. 材料として, 1989年から1991年まで3年間にわたり, 圃場栽培した1穂穎花数の異なる9品種を用いた. 主茎のみを用いて, 1穂穎花数と密接な関係にある茎葉・穂関連形質を探索したところ, 1次枝梗あたり穎花数(1穂穎花数/1次枝梗数), 節間直径(特に最上位の第1節間直径), 穂長の3者が, 各年次を通して強い正の相関関係にあることが認められた. この関係を各品種の全茎における調査結果と比較したところ, 第1節間直径および1次枝梗あたり穎花数に対する1穂穎花数の関係は, 品種・年次を問わず, 主茎のみを用いて得られた回帰直線と良く一致することが認められた. また, 主茎において, 1穂穎花数は, 幼穂分化期の生長点付近の太さ(幼穂基部直径)および第1節間直径と強い正の相関関係にあることが明らかとなり, 生長点付近の太さが同じであれば, 品種の違いにかかわらず, ほぼ同数の穎花が分化されることが示された. そして, 幼穂分化期の生長点付近の太さが大きければ, 品種・年次・茎の種類にかかわらず, 1次枝梗あたり分化穎花数が多く, その結果, 1穂穎花数が多くなると考えられ, また, そのような茎においては第1節間直径が大きいことがわかった.

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