Abstract
要旨症例は22歳の女性。18歳頃から過食,嘔吐,極端なカロリー制限を繰り返していた。2か月前より1日300kcal以下にカロリーを制限し,意識障害を来して近医を救急受診した。低血糖を指摘され,ブドウ糖を投与された。翌日再度意識障害を来して同院を受診し,受診後心室細動に至ったが,心拍再開後当院に転院となった。来院時BMI 13.2kg/m2と著しく低下しており,心エコー検査上びまん性の壁運動低下を認めた。心電図上QTcは0.51秒と延長しており,その原因は心停止の影響もしくは神経性食思不振症(anorexia nervosa: AN)に伴うものと考えられた。来院同日,ICU入室後の心エコー検査では心基部の過収縮および心尖部の無収縮を認めた。第2病日再度心停止(pulseless electrical activity: PEA)となり,心肺蘇生法により心拍再開したが,血糖値は13mg/dLと低値であった。心血管造影上冠動脈に有意な狭窄はなかったが,左室造影にて心基部の過収縮と心尖部の無収縮を認め,たこつぼ型心筋症と診断した。その後,低血糖を防ぐために徐々に投与カロリーを増量したが,第4病日より低リン血症,汎血球減少を認め,refeeding syndrome(RS)と考えられる病態となったものの治療経過は良好で,第44病日当院精神科に転科した。ANにたこつぼ型心筋症が併発する要因として,低血糖が指摘されており,本症例も低血糖が誘因であったと思われる。また低血糖を来したことにより,投与カロリーを増量せざるを得ず,リンの投与が遅れたことがRSを生じた原因として考えられた。本症例の2回の心停止の原因は経過や検査所見より,QT延長やたこつぼ型心筋症などが関連した可能性が考えられた。ANに低血糖が生じた際には,たこつぼ型心筋症による循環不全および糖負荷によるRSの発症に十分に留意する必要がある。
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