Real-time Detection of 1-Nitronaphthalene in Atmosphere by Single-photon Ionization Mass Spectrometry

Abstract

自動車排ガスからの発生が懸念されているニトロ多環芳香族炭化水素（NPAHs）は，発癌性が高いことが知られている．NPAHsの代表分子である1－ニトロナフタレンは，通常のガス分析時には分子開裂を起こしやすいため，定量分析が困難であった．本研究では，NPAHsの発生をリアルタイムにモニタリングするため，超音速ジェット光イオン化質量分析法に着目し，その可能性を検証した．測定には，各種レーザー光を用いて，共鳴多光子イオン化過程（REMPI, resonance enhanced multi-photon ionization），非共鳴多光子イオン化過程（NRMPI, non-resonance multi-photon ionization），真空紫外1光子イオン化過程（VUV-SPI, vacuum-ultraviolet single photon ionization）を比較し，1－ニトロナフタレンの定量測定とリアルタイムモニタリングに対する有効性を検討した．その結果，VUV-SPI法のみが分子開裂が無く定量的に測定でき，上記目的に最も適していることを明らかにした．本研究で開発したVUV-SPI装置の検出時間分解能は30秒であった．