Abstract

1.性腺刺激ホルモン放出ホルモン 性腺刺激ホルモン放出ホルモンは,黄体形成ホルモ ン放出ホルモン(LHRH)とも,ゴナドトロピン(LH と FSH)のいずれの放出にも関与するという意味をこ めてゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)ともよば れ,LH と FSH の合成も刺激する.雌動物では LHRH の間欠分泌により LH の間欠分泌が起こり,卵巣から の排卵を促し,妊娠可能の状態が用意される(排卵分 泌).LHRH 細胞の分泌は,発生学的研究から,基本 的には一定の周期をもつ自発的分泌であることがわ かってきたが,生体内では,卵巣ホルモンや神経性の 制御をうけ,一定周期の律動分泌,パルス分泌をおこ なっている(基礎分泌).そのうえに,生体時計による 制御をうけて,周期的に排卵分泌が加わる.一方, LHRH の脳内,あるいは皮下投与によって,排卵分泌 とともに,ロルドーシスなど生殖行動を惹き起こすの で, LHRH が生殖現象の要であることが示唆される. LHRH は 10 個のアミノ酸からなり,TRH より早く 抗体が作られ,免疫組織化学的に脳内局在が調べられ た.その後,系統発生学的にも研究がすすみ,最初に 構造決定された哺乳類の mLHRH 以外に,非脊椎動物 の 2 種を含めて 10 種の LHRH が同定され,LHRH ファミリーを構成している.しかし,mLHRH 以外の LHRH に関しては,その生産細胞の起源や機能の詳細 はまだ明らかではない. Barry による研究は,哺乳類の視床下部 LHRH 細胞 の局在と下垂体への LHRH 放出の場の同定であった. 免疫陽性細胞体は視索前野,中隔,視床下部前核,弓 状核,視交叉上核などに認められた.細胞体からでる 軸索突起は第三脳室前壁(終板)や視床下部正中隆起 (ME)に投射された.線維終末には免疫陽性の分泌顆 粒がふくまれた.細胞の局在は動物によりことなるが, ME と終板での線維の集積は動物間で差はない.特に, ME には下垂体門脈系一次毛細血管が分布しており, 線維終末から放出された LHRH は門脈血管により下 垂体に運ばれゴナドトロプスを刺激することが理解さ れ,Harris が唱えた仮設が形態学的に立証された.Silverman ら はモルモットを主にして,いくつかの哺乳 類をもちいて,LHRH 細胞分布の動物種差を研究し て,LHRH 線維を前脳胞腹側面にある前有孔質に発見 した.この部には前大脳動脈からでる細血管が前脳底 部にはいるためにできた多数の小孔があり,線維はこ の細血管にともない,LHRH 細胞体も認められた.こ れは LHRH 細胞の脳内侵入を示唆する.Silverman は翌年,Schwanzel-Fukuda とともにモルモット胎児 で研究し,これら線維や細胞の分布が終神経のそれに 一致することに着目して,終神経に属する New LHRH neuron system の存在を提唱した.このことにより,鼻 プラコード,鋤鼻器,終神経,鋤鼻神経がにわかに脚 光を浴びることになる. 日医大誌 1999 第 66 巻 第 2 号

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