Abstract
がん患者において化学療法による消化管障害は一般的な有害事象であり,下痢が最も多い症状である.今回われわれは,uracil-tegafur(UFT)/leucovorin(LV)療法によって,多発小腸潰瘍をきたした症例を経験したので報告する.患者は70歳代の女性.上行結腸癌の術後補助化学療法としてUFT/LV療法を開始したが,内服開始25日目より下痢が出現したため入院した.入院10日目に下血があり,下部消化管内視鏡検査で吻合部の口側回腸に多発打ち抜き潰瘍を認めた.入院20日目に強い腹痛が出現し,腹部CTで消化管穿孔が疑われたので手術を施行した.吻合部の口側にpinholeの穿孔を認め,発赤斑が多発していたため,約70cmの小腸切除と回腸瘻造設術を行った.切除標本では回腸に多発潰瘍を認め,病理組織検査では非特異的炎症の所見であった.以上よりUFT/LV療法による多発小腸潰瘍と考えられた.
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