Abstract
われわれは慢性膵炎に続発したと考えられた脾膿瘍, 脾梗塞のまれな1例を経験したので報告する.症例は78歳の男性. 1994年7月7日, 突発性の39度の発熱と突然の左上腹部痛が出現した. 精査の結果, 脾膿瘍の穿孔による左横隔膜下膿瘍および腹膜炎が疑われ, 脾臓摘出術および腹腔内ドレナージを施行した. 摘出標本の病理組織学的検索では, 膵臓は慢性膵炎の像を呈し, 脾臓内には広範な梗塞巣と膿瘍を認めた. 脾動脈には炎症性細胞浸潤を認め, 内腔は血栓により閉塞しており, 梗塞の原因となったと考えられた. また膵尾部の炎症性細胞の浸潤が脾下極の膿瘍に連続していることから, 膿瘍形成の直接の原因となったと考えられた. いずれの病態も慢性膵炎が原因でそれに続発したものと考えられた.
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