Abstract

水溶液系における無水酢酸の加水分解反応は電気伝導度法,カロリメータr法,滴定法などにより古くから研究されているが,著者らは無水酢酸の多い系におけるこの反応を高分解能NMRを用いて追跡した。まず無水酢酸一酢酸系における平衡定数と水酸基化学シフトの関係式を導き,20,40,60℃ で82,51,31mol/lを,またこれから活性化エネルギーとして-4.6kcal/molをえた。つぎに無水酢酸一酢酸一水系における酢酸の定量に高分解能NMRを用いることを検討し,13Csatcllitc法とchemicalshift法とにより精度よく定量できることがわかった。無水酢酸の加水分解反応は水溶液系で見られるように酸により加速され,この反応の初期速度定数は,k=ko+kH[AcOH]で近似でき,これを用いて全反応速度式を求めた。またこの反応の活性化エネルギー,活性化エントロピーを計算し,Eo=16.Okcal/mol,EH=15.4kcl/mo1,ΔSo=-15.2cal/mol・deg,ΔSH=-14.77cal/mol・degをえた。

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