Abstract

(要旨).ニホンジカ個体数推定のためのHarvest-based modelsにおける適切なモデル設計の検討.Harvest-based models(HBMs)を用いて野生動物の適切な個体数推定値を得るためには,モデルの構造とデータの特性を理解することが必要である.これらに対する理解が不十分な場合,適切な推定値を得られないリスクが大きくなる.本研究では,狩猟メッシュを単位とした空間解像度の高いHBMsを複数構築してニホンジカ個体数の推定を試み,モデル構造とデータの質が個体数推定値に及ぼす影響を明らかにすることを目指した.データとして,岐阜県が収集したモニタリングデータと,筆者らが収集した観測データを用いた.モデル構造(観測モデルにおける過分散の考慮の有無)とデータ(追加観測データの有無)の組み合わせにより,4つのHBMsを構築し個体数推定を試みた.その結果,4つのモデルのうち,精度の低いデータに対する観測モデルのみに過分散を設定した2つのモデルでは妥当なニホンジカ個体数が推定された.一方,すべての観測モデルで過分散を考慮した他の2つのモデルではパラメータは収束せず,また個体数推定値は過大であった.本研究の結果から,ある時点で利用可能なデータからHBMsを用いて野生動物の個体数を適切に推定するためには,モデル構造とデータの特性に対する理解が不可欠であることが確認された.

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