Abstract
親電子物質は、古くから発がんや組織傷害を起こす「悪玉」として理解されてきた。例えば、風邪薬であるアセトアミノフェンの一部は代謝活性化され、生じた親電子性を有する反応性代謝物がタンパク質に共有結合して有害な反応を引き起こす。これはアセトアミノフェンの大量摂取で見られる毒性発現メカニズムとして認知されている典型例である。親電子物質を解毒するシステムとしてグルタチオン抱合が知られているが、生体の有するそれ以外の親電子物質に対する不活性化戦略は理解されていなかった。ましてや、毒性学を志向する研究者の興味は外因性親電子物質の細胞内での有害性へと集中し、細胞外で起きている防御機構については知る由もなかった。本講演では、環境中親電子物質に対する1)細胞内レドックスシグナル系の応答(低用量で活性化、高用量で破綻)、2)サルフェン硫黄を含む活性イオウ分子によるイオウ付加体生成を介した不活性化機構、3)細胞外に排泄されるシステインによる付加体生成を介した制御(フェーズゼロ反応)について解説する。
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