Abstract
土壌の水ストレスがコムギ幼植物の根の生育に及ぼす影響を, 特に種子根の伸長と分枝の発達に着目して検討した. 直径26 mm, 長さ1 mのアクリル管に園芸用培土を充填した後, 土壌水分含量が30%(W 区)および20%(D区)となるような2処理区を設け, それぞれにコムギ農林61号の種子を1粒づつ播種し, 人工気象室内で育成した. 播種後9日目から34日目まで合計8回, 根系を含めた植物体全体を経時的に採取し, 観察・測定に供試した. W区に比してD区では, 葉齢の進行が遅延し, 分げつの発生も少なかったが, 根重/茎葉部重比の値が顕著に高くなっていた. 実験終了時における両区の種子根数は等しいこと, また節根数はW区の方が多かったが, この段階における節根は極めて短いことから, 両区の間における根重の差は種子根の生育に起因するものと考えられた. そこで, 特に初生種子根の形態について検討したところ, 分枝指数(=総分枝根長/総1次根長)はW区よりD区で高い値を示し, D区でより分枝が発達していることが分かった. D区の初生種子根における生育の変化を経時的にみると, 根軸の伸長が抑制され, 続いて分枝根密度が高くなり, 次に分枝根平均長の増加がみられるという順序であった. こうした変化が起こった後に, 茎葉部では葉齢の進行が鈍化し始めていた.
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