Abstract
インドネシア, フィリピン, マレーシア産のフィリッピンザイノキクイムシ, および日本国内だけでなく, インドネシア, フィリピン, ボルネオなどに分布しているクワノキクイムシ, サカクレノキクイムシについて, 60Coγ線に対する放射線感受性を測定した結果, (1) クワノキクイムシはフィリッピンザイノキクイムシと同じラワンのこ屑を基材とした人工培地で, またサカクレノキクイムシはフィリッピンザイノキクイムシの人工培地を改良した培地で飼育が可能であった. (2) 羽化3~4日以内のフィリッピンザイノキクイムシ雌成虫に対する照射後12日目の殺虫線量LD50とLD99は, それぞれ57krad, 90kradであり, ハンノキキクイムシと同程度であった. (3) 羽化2~3日前のフィリッピンザイノキクイムシ雌雄蛹に対する羽化阻止線量は8krad以上で, その羽化成虫について, 照射, 非照射の組合わせを行なった結果, 蛹照射における不妊化線量は3~5kradであった. (4) フィリッピンザイノキクイムシ蛹に不妊化線量レベルの3~5kradを照射した結果, 1♂×U♀区では雄成虫だけの羽化がみられ, 照射による精子の不活性化を認めた. (5) 既交尾のフィリッピンザイノキクイムシ雌成虫の不妊化線量は4kradであり, 5~10krad照射では雄成虫だけの羽化がみられ, 雌成虫を生ずる受精卵の感受性が高いことが認められた. (6) クワノキクイムシ雌成虫の不妊化線量は4kradであり, サカクレノキクイムシは今までの結果と同様に2kradであった. (7) 蛹照射における照射雌および既交尾雌成虫照射では, 線量の増加に伴ってアンブロシア菌の繁殖は抑制されることが認められ, これは放射線の穿入阻止効果にもとづくものと思われる. (8) フィリッピンザイノキクイムシ, クワノキクイムシ, サカクレノキクイムシの3種は, ハンノキキクイムシ, シイノコキクイムシと同程度の放射線感受性であった.
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