Abstract

屋久島の山麓部に分布する照葉樹林の構造と動態をまとめ,その自己修復能力について考察した。この森林ではイスノキが優占し,ブナ科・クスノキ科・ハイノキ科・ツバキ科などがおもな構成要素である。典型的な原生林は,森林高(20 m) のわりには大きな現存量(約330 t/ha) を特徴とする。毎年台風が襲来するが,ギャップ面積比は10 % 以下にすぎない。10 年以上にわたって永久方形区を追跡調査し,幹の死亡率・新規加入速度・生長速度などの動態データを蓄積してきた。幹の死亡率は一年あたり約2% であり,平均して約50 年で入れ替わっていることになる。動態データにもとづく計算からえられた幹サイズ分布の定常状態は,実測データとよく一致した。人里近くでは「共用林」のうち植林を受けずに放置された部分が回復した二次林が見られ,スギ造林地にまじって島状に分布する。原生林に特徴的な種のうち萌芽能力をもつシイ・マテバシイが優占し,落葉の先駆性樹種も林冠にまじる。二次林の生長速度は高く,皆伐後約50年で原生林と同じ現存量レベルに達する。この急速な回復には構成樹種が多様な特性を持つことが貢献している。屋久島で森林と人聞が過去長い期間にわたって共存してきた背景には,樹種多様性にささえられた森林の高い回復能力があると考えられる。

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