Abstract

二重蛍光染色法を用い,完全体外培養系により作出された牛胚盤胞期胚の栄養外胚葉(TE)と内細胞塊(ICM)を分別染色し,両細胞の割合を発生段階別,品質別に比較した。まず,家兎抗牛脾臓細胞血清を作製し,補体と共にTEに傷害を与え,ヘキスト33342とヨウ化プロピジウム(PI)による二重蛍光染色によりTEとICMの分別染色を行った。さらに完全体外培養系により作出された各発生段階の胚盤胞期胚を用いて,TEとICMの細胞数を個別に計測し,両者の比率を算出した。抗体と補体により細胞傷害を受けたTEはヘキストとPIによりピンクに,傷害を受けなかったICMはヘキストによりライトブルーに,それぞれ分別染色された。本法により計測した初期胚盤胞期胚の総細胞数は平均43±18で,総細胞数に対する割合は,TE:84.2±7.8%, ICM:15.8±7.8%であった。拡張胚盤胞期胚では,総細胞数:71±26で,総細胞数に対する割合は,TE:85.1±6.9%,ICM:14.9±6.9%であった。また脱出胚盤胞期胚では,総細胞数:108±37で,総細胞数に対する割合は,TE:88.1±5.6%, ICM:11.9±5.6%であった。以上の結果より,本法を用いて牛胚盤胞期胚のTEとICMの細胞数の分別計測を行うことは可能であることが明らかになった。また総細胞数は胚盤胞の拡張と透明帯からの脱出に伴い増加したが,ICMの割合は拡張期から脱出期にかけて逆に低下する傾向が認められた。

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