Abstract

ヒトの頭部は解剖学的に脳頭蓋部と眼窩•顎頭蓋部(HOFER, 1956)に分けられる。後者は人類進化の過程を通じて次第に退化•縮小し,前者は大きくなった。これらの現象はヒトの直立二足歩行と関係があると考えられているが,その分析は十分なされていない。そこで著者はヒトの頭部の血管分布と四足性哺乳動物の頭部の血管分布を比較し,さらに図5のような管系を作り簡単な実験を行なった。その結果,頭部の血管分布と脳および脳頭蓋部の発達と眼窩•顎頭蓋部の退化の間には密接な関係があり,眼窩•顎頭蓋部が退化してそこに送られる血液量が減少すると脳および脳頭蓋部に送られる血液量が増加するような血管分岐になっていることが明らかになった。これは脳および脳頭蓋部の発達にとって合目的的である。また直立二足歩行は,脳および脳頭蓋部の発達を促進したと考えられる。

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