Chemical Investigations of Hot Springs in Japan. XLI-XLIV. XLIV. On the Hot Springs in South-western Hokkaido. Part. 3. The Hot Springs at Nigorikawa.

Abstract

北海道西南部にある濁川温泉の23泉源について,分析結果を示し,湧出機構,化学成分の起源を考察した,濁川温泉ではSO42-は非常に少なく,HCO3-はすべての泉源でかなり多最に含まれ,その含量にいちじるしい差はないが,Cl-含量は9～2299mg/lと広い範囲にわたっており,したがってCl/Σanion当量百分率も2～86%と変わっている。臭素,ヨウ素,リチウム,ゲルマニウムなどの微量成分をも含めて,成分相互間の関係を検討した結果,Cl-含量の大きい高温のCl嗣の水がHCO3-含量の大きい比較的低温の水に混合して湧出するものと考えられる。Cl型の水は主として火山性発散物として供給され,それより分離して行動したCO2がHCO3型の水を形成する要因となったと思われ,ここでも前報で述べた鹿部温泉の場合と同様,化学成分が化石水に由来するとの考えは否定された。