Abstract
遺伝性出血性末梢血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia:HHT)は常染色体優性遺伝の全身性血管疾患である.今回,限局性結節性過形成(focal nodular hyperplasia:FNH)を伴ったHHTの長期経過観察をしえた1例を報告する.60歳代女性.主訴はなし.幼少期より鼻出血を繰り返しており,他院にて肝内腫瘤が疑われ,2006年に当院紹介となった.家族鼻出血歴あり.入院時血液検査は肝炎ウイルスマーカー,腫瘍マーカー陰性であった.腹部超音波(ultrasonography:US)は,肝全域に著明な門脈,肝静脈の拡張,コイル状肝動脈管拡張,多発シャント像,および境界不明瞭な不整形腫瘤を多数認めた. 最大径腫瘤(S8)は,カラードプラにてspoke-wheel-pattern様シグナルを示した.ダイナミックCTでも同様の血管異常を認め,腫瘤は早期相で不均一に造影され,Wash outは認めなかった.腫瘍生検を実施しFNHの診断であった.2007年に最大腫瘤に対し,ペルフルブタン(ソナゾイド)造影検査(contrast-enhanced ultrasonography:CEUS検査)を実施し,早期相で内部不均一濃染を示し,後血管相defectを認めなかった.その後,1年ごとの画像検査では,血管病変に著変は認めなかったが,最大腫瘤はUSとGd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)にて,徐々に縮小し,2015年に消失した.その後,EOB-MRIでは新規出現や縮小等,腫瘤の全体像を把握しえたが,USでは検出できなかった.しかし,2022年のUSで新たに腫瘤が確認され,Full focus機種でCEUS検査を行ったところ,Bモードで指摘できなかった腫瘤も観察しえた.多発FNHを伴うHHTの長期経過を観察しえた.CEUS検査,EOB-MRIは病態全体像の把握に有用である.
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