Abstract
症例は75歳,男性.繰り返す一過性脳虚血発作(左上肢の脱力)の後,右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症し,近医に入院した.右頚部内頚動脈狭窄を指摘され,血行再建を目的に当院に紹介入院した.NASCET法で50%程度の中等度狭窄であったが,術前検査でプラークのvulnerabilityを示唆する所見があり,症候性頚動脈狭窄症と判断し,局所麻酔下にcarotid artery stenting(CAS)を施行した.Distal protection下にsemi-compliant balloonにて前拡張した後,プラーク全体をカバーするようにPrecise^[○!R] stent(Cordis J&J Inc.)を留置した.留置直後の撮影にてステント内腔に一部,造影欠損部分を認め,その後の撮影でそれがさらに顕著になったため,プラーク内容のステント内腔への脱出(plaque protrusion)と判断した.バルーン拡張を追加し,ステント内に重ねてもう1本Precise^[○!R] stentを留置した.いったんは改善したが,時間経過とともに造影欠損部がステント内腔全体に広がり,ステント内血栓症をきたした.その後,数回のバルーン拡張を施行したが効果はなく,最終的に閉塞をきたした.CASにおけるステント内血栓症はまれな合併症であり,その原因や対処法について明確に言及した報告は少ない.今回,われわれは,ステント留置直後,plaque protrusionにより急速な血栓形成から閉塞をきたしたと推察される症例を経験したので,原因および対処法を中心に文献的考察を加え報告する.
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