Abstract
症例は40歳代女性.主訴なし.前医にて肝S6の孤立性壊死性結節を経過観察中であった.造影CTにて,肝S6結節は経時的にほぼ消失したが,新たに肝S5に早期濃染を伴う10 mmの腫瘤性病変を指摘された.超音波検査(US)とGd-EOB-DTPA造影MRIを施行し,悪性病変を否定できず,切除希望のため当院紹介となった.当院での初回USにて,肝S5に境界不明瞭な低エコー腫瘤を認め,Sonazoid®造影超音波検査(CEUS)では,動脈相で微細点状の豊富な造影効果を認め,その後,結節状に強く造影された.門脈相で造影効果は遷延し,後血管相で造影効果は認めなかった.半年後のUSにて,肝S5腫瘤に増大はみられず,CEUS動脈相,後血管相に著変はなかったが,門脈相で早期の造影効果減弱を認めた.造影CTでも門脈相,平衡相の洗い出しが明瞭化した.これらの変化は肝細胞癌の脱分化など悪性病変を否定できず,腹腔鏡下肝部分切除術が施行された.病理組織学的所見では,被膜を有さない境界明瞭な腫瘤で,炎症細胞浸潤を背景に小血管の増生を伴っていた.免疫染色でαSMA陽性,ALK陰性,EBER陰性,IgG4陽性細胞をほとんど認めず,炎症性偽腫瘍(IPT)と診断された.IPTは特徴的な画像所見に乏しく,CEUSでIPTを経過観察し得た報告は少ない.今回,経時的にCEUS所見が変化したIPTの1症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
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