Abstract

地熱系の分布における構造支配について研究するために,日本の九重-別府地溝帯(KBG)とニュージーランドのタウポ火山帯(TVZ)を比較検討した.その結果,その違いと類似性が明らかとなった.地熱地域の分布は,両者で大きく異なり,KBG では中央部を斜交する若い火山フロントの直上ないしはその背後に限定されるのに対して,TVZでは地溝帯全体に広く分布している.最も若い火山活動に関しても両者で異なり,KBGでは安山岩質の成層火山を形成する火山活動であるのに対して,TVZではカルデラ形成を伴う流紋岩質火山活動である.従って,現在の地熱地域の熱源としては,KBGでは安山岩質マグマと固結したプルトンが想定されるのに対して,若いTVZでは浅所貫入した流紋岩質のプルトンと岩脈群が想定される.このような両者における熱源と地熱分布の違いは,異なる地熱地域特性を生じさせている.TVZ浅部(深度500-1500 m)では,沸騰温度およびそれに近い流体(250-300°C)が中生界の上位に重なる第四紀火山岩-堆積岩よりなる多孔質帯水層に賦存している.一方,KBGでは,より深い深度(1000-2000 m)に,より低い温度(220°C)の流体が賦存している.KBGでは第四紀安山岩質マグマ近傍域がTVZより深く位置し,天水は深くまで浸透して,地温勾配の低い熱伝導域の上位の破砕された火山岩類の中で熱せられている.このように,火山性テクトニック陥没帯で地熱流体から放出される熱は,マグマ近傍域の深度と天水の浸透する深度とに大きく規制されている.

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