Abstract

要旨【目的】救急外来での情報技術(IT)導入による効果が期待されているが,現場業務との親和性が高くないと業務効率を低下させる恐れがある。救急外来での業務遂行を効率化しつつ,臨床研究および医療の質の向上のためのコード化医療データを蓄積可能なITシステムを開発導入し,その有用性につき評価した。【対象】Filemaker ProにてUIを整備し,カルテ記載支援や患者情報の一覧表示が可能で,かつ自動コード化技術により標準化されたデータが蓄積されるシステムを開発した。1か月間のシステム使用後に使用者を対象として質問紙調査を行った。【結果】システム総合評価は10点中7.2点であり,初期研修医の評価がとくに高かった。業務の効率化に直接役立つ機能が評価され,具体的には「患者情報の共有や検索に役立つ」「情報収集時のチェックリストとして機能しつつカルテ作成時間の短縮につながる」という評価が得られた。音声入力やスマートフォンの活用が今後の期待として挙がった。【結語】本システムは業務効率化を実現し,広く現場に受け入れられた。結果として現在の電子カルテよりも標準化されたデータの蓄積,あらゆる検索軸での患者データ検索,既往歴などの時系列情報の引き継ぎなどが可能になった。救急医療現場で役立つITシステム開発には臨床・研究・開発の3者の視点を融合したシステム開発マネジメントが必須である。

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