Abstract

島根県内および他県に自生するササユリを10塩基のランダムプライマーを用いたRAPD分析によって比較し, それらの遺伝的関係の解析を行った.UPGMAクラスター分析の結果, 島根県内に自生するササユリは, 採取地による明瞭な差はみられず, 類似度係数0.588のレベルで同一のクラスターに含まれた.また, 愛媛県に自生するササユリは島根県のササユリのクラスターに含まれた.また, これらのササユリは奈良県, 和歌山県および静岡県に自生するササユリと区別された.島根・愛媛・奈良・和歌山県に自生するササユリと静岡県に自生するササユリの類似度係数は0.428であり, 前者とヒメサユリの類似度係数は0.429であった.この結果から, ヒメサユリはササユリの変異のなかに含まれる可能性があることおよびササユリには自生地の違いによって大きな変異のあることが示唆された.以上の結果から, 島根県に自生するササユリを基にした雑種強勢の利用による品種改良を行う場合には, RAPD分析によって遺伝的に遠縁であることが明らかとなった静岡あるいは和歌山県産のササユリを交配に用いることが望ましいと考えられる.

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