浮稲性(深水条件下における節間伸長性)は, 伸長最低節間位置(PLEI)に支配されているがこのPLEIは, 茎の発育相の第2次伸長節間形成相への転換までの遅速を意味する. 本研究は浮稲品種Habiganj Aman VIIIを用いて, 分げつ茎の第2次伸長節間形成相への転換は, 主茎と独立して起こるのか否かを明らかにするために行った. 主茎と分げつの相転換の遅速を表わす指標として, 未伸長節間数と第1次伸長節間数の和である非伸長節間数(NNEI)を設定した. 主茎の第1節から第15節までの着生節位の異なる1次分げつを対象に, 種々の時期に, 種々の程度に主茎切除処理を行なった結果, 主茎と分げつの相転換の間に, 密接な関係が認められ低節位の分げつほど, NNEIが大きな値をとる傾向を示した. 伸長茎の高節位分げつでは, NNEIは0個となった. しかし, 高節位の分げつでも, いったん休眠すると, 休眠解除までの期間が長いほどNNEIの増大が認められ, 分げつの第2次伸長節間形成相への転換は主茎の相転換によって支配されるが, 分げつのNNEIの決定には分げつ茎自体の発育ステージも関与していることが明らかにされた. ジベレリン処理でNNEIが減少することが認められた. 主茎と分げつとの関係, 主茎のPLEIの性質, 分げつのNNEIの意義について考察した.