トウビシの花芽の着節様式と葉の発育に及ぼす日長の影響を明らかにするために, 浮葉期後期に達したトウビシに24時間周期で人為的に7段階の明期 (9, 11, 13, 13.5, 14, 15, 17時間) の日長処理を6月26日から8月26日までの2ヵ月間実施した. トウビシは明期が14時間以下の短日条件下で花芽を形成した. また, 形成された花芽の着節様式は日長によって変化した. すなわち, 14時間以下の日長では, 茎軸上における有花節部と無花節部が交互に現れる周期はほとんど変化しなかったが, 日長が短くなるほど有花節部の節数は増加し, 無花節部の節数は減少した. したがって, 1葉冠の単位節数当りの有花節数は短日となるほど増加することが明らかとなった. 一方, 明期の短縮に伴って葉の生長は劣り, 個葉は小さく, 1葉冠当りの葉数は増すものの, 葉冠の大きさは小さくなる傾向を示した. さらに, 開花節位前後に達した花芽は, 葉と同様に短日処理下で小さくなる傾向を示した. このことから著しい短日条件では果実の発育が制限される可能性が示唆された.