Abstract
本研究は,小学校教員に対する質問紙調査により,(1)日本語のディスレクシア児の書字に関する特徴的な認知障害を包括的に検討すること,(2)それらの認知障害を測定する尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討すること,(3)日本語のディスレクシアの書字障害にはどのようなサブタイプが存在するのかを明らかにすること,(4)各々のサブタイプは読み書き能力とどのように関係しているのかを検討することを目的とした。書字特性の因子分析の結果から,日本語のディスレクシア児では書字に関して4つの主要な認知障害――心的辞書障害,視覚性障害,音韻性障害,書字運動障害――が存在すること,および,これらの認知障害を測定する「ディスレクシア児の書字障害尺度」(WDS-DC)は,信頼性・妥当性が高いことが示唆された。さらに,クラスタ分析により発達性書字障害のサブタイプを分析したところ,重度多重障害群,中度多重障害群,視覚処理障害群が存在することが示唆され,重度多重障害群と中度多重障害群は全ての文字種の読み書き能力において,視覚処理障害群,ボーダー群,障害なし群より低いことが示された。
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