Abstract

流暢性失語症者における格助詞や動詞の接尾辞の誤用に関する研究は少なく, その出現機序は明らかになっていない。本研究では, 文の産生時に助詞の誤りを認めた Wernicke 失語症 6 例の構文能力について, 動詞の文法的特性の差異による障害特徴を検討した。自動詞・他動詞文表出検査を作成し, 対象者に文の発話をもとめた。課題文は自動詞・他動詞の対立のある動詞を含む文 (例 : コマが回る / コマを回す) と対立のない動詞を含む文 (例 : 犬が歩く / 字を書く) 各 40 文で, 各症例の両文の発話成績を比較した。その結果, 6 例中 2 例で自・他の対立のある文の成績が対立のない文より低下しており, 格助詞と動詞の接尾辞が一致しない誤りを認めた。しかし, 動詞の語幹部分の発話成績は対立の有・無による差を認めなかった。これは, 対立のある文は対立のない文より文法操作が複雑なためであり, 格助詞と接尾辞を関係付ける文法操作能力の障害が 2 症例における文の産生障害の中核であると考えられた。

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