Abstract

直腸-肛門静脈瘤は,門脈圧亢進症患者ではしばしば経験されるが,外科医の認知度は低く,痔核と誤認されて治療され重篤な合併症をきたす.今回われわれは,内痔核に併存した直腸-肛門静脈瘤に対し,経直腸超音波検査(TRUS)を行うことで手術に伴う出血の合併症が回避できたと考えられる1例を経験した.症例は77歳の女性.主訴は,血便.併存疾患に肝細胞癌と肝硬変があった.繰り返す潜血便と貧血で入院となった.下部消化管内視鏡検査で直腸に1条の静脈瘤を認めたが,血管造影検査では異常所見はなかった.出血源は内痔核と判断され,手術となった.術中所見では肛門前壁に30mm大の内痔核を認めたが,TRUSで同部位に直腸静脈瘤に連続する肛門静脈瘤が確認され,手術は中止として硬化療法へ治療方針を変更した.TRUSは簡便で侵襲もないため,直腸-肛門静脈瘤が疑われた場合には,合併症予防の点から積極的に施行すべき検査と考える.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call