カンショ焼酎粕ケーキを添加した発酵TMR中の粗飼料の違いが乳用牛の栄養代謝と乳生産に及ぼす影響

Abstract

カンショ焼酎粕ケーキ（SDC）を添加し，主たる粗飼料源が異なる発酵TMRの乳用牛への給与が養分摂取，消化性ならびに乳生産に及ぼす影響を調べた．発酵TMRにはSDCを乾物当たり4％添加し，主たる粗飼料源をトウモロコシサイレージまたは飼料用イネホールクロップサイレージとした（以下，それぞれCS-TMR区およびRWCS-TMR区）．CS-TMR区とRWCS-TMR区との間でV-SCOREに有意差が認められた（P＜0.05）ものの，両区とも80点以上と優れていた．乾乳牛に給与して求めたTDN含量は，RWCS-TMR区よりもCS-TMR区で有意に高かった（P＜0.05）が，飼料の粗脂肪を除く各成分消化率，第一胃内溶液性状および窒素利用性に有意な区間差は認められなかった．さらに，搾乳牛に給与した場合，乾物摂取量，TDN摂取量および乳生産に区間差は認められなかった．以上から，発酵TMRの主たる粗飼料源がトウモロコシサイレージおよび飼料用イネホールクロップサイレージと異なる場合でも，SDCを添加した発酵TMRの発酵品質はいずれも優れ，SDCは発酵TMR原料として有効に利用でき，乳用牛の飼料として利用可能なことが示された．