Abstract

要旨【目的】多発外傷における鈍的胸部大動脈損傷(BTAI)に対する治療のタイミングについて検討する。【対象】2011年から2018年に自施設で診療したBTAIのうち,AIS≥3または治療手技(手術あるいは血管内治療)を要する体幹部外傷を伴い,かつ侵襲的治療[ステントグラフト内挿術(SG)あるいは開胸手術(OS)]を行った25例を後方視的に検討した。【結果】48時間以内に侵襲的治療を施行した群は17例(68%,生存15例)で,48時間以降に施行した群の8例(32%,生存7例)と比較して入院期間が短く(43[31–55.5]日/64.5[61.5–82.75]日),RBC輸血量が少なかった(2[0–4]単位/8[4–19]単位)。待機期間がとくに長かった3例のうち2例はStanford B型のII型で,経過中に非手術的治療からSGへ変更したものだった。最終的に22例(88%)を救命した。BTAIの損傷形態は,日本外傷学会分類IIIbが1例でOSを施行,IIIaが18例(72%)で17例にSGが選択された。II型(IIaまたはIIb)は6例(24%)で,そのうちStanford A型の2例にはOSが,B型の4例にはSGが選択された。【結語】多発外傷におけるBTAIは48時間以内に侵襲的治療を行えば入院期間を短縮できRBC輸血量を減らすことができた。

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