Abstract

超臨界メタノール中におけるジベンジルエーテル (DBE) の熱分解反応を行った。反応温度は643, 693K, 反応圧力は10, 15, 20MPaであり, DBEのモル分率が0.02と0.20の2種類の組成の反応原液を用いた。反応の主生成物はトルエンであり, 副生成物としてベンズアルデヒド, ベンジルアルコール, ベンジルメチルエーテルが得られた。超臨界メタノール中におけるDBEの熱分解反応はラジカル熱分解反応と, メタノールとの加溶媒分解反応が第一段階の反応として並発して起こり, さらに第一段階の反応生成物の第二段階目の反応も起きていることがわかった。推定される反応経路に基づいて導出された速度式を Runge-Kutta 法で解き, 最適の速度定数の値を Simplex 法により決定した。ラジカル熱分解反応および加溶媒分解反応の速度定数の値は圧力の増加にともない減少した。ラジカル熱分解速度が高圧になるほど減少するのは溶媒であるメタノールによるかご効果によるものと思われる。DBEの初期モル分率が0.20の場合の方が0.02の場合よりラジカル熱分解反応の速度定数の値が大きいことから, DBEの濃度が高くなるほど, ラジカルとDBEの分解生成物との間での反応の影響が大きいことがわかった。また, ラジカル熱分解反応と加溶媒分解反応により消失するDBEの割合を調べたところ, 高圧になるほど加溶媒分解反応によって消失する割合が大きくなることがわかった。

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