Abstract

目的本研究の目的は, 早産児の母親の親役割獲得過程を明らかにすることである。象および方法研究対象者は, 子どもがNICUを退院して約1年経過した初産婦7名である。子どもの在胎週数は29週-35週, 出生体重は836g-1,458gであった。NICU退院時に, 神経学的に異常な所見が認められた子どもはいなかった。データは半構成的面接法によって収集し, 面接内容を逐語録としてデータ化した。データ分析は, グラウンデッド・セオリー・アプローチの継続的比較分析法を参考にして行った。結果分析結果から,《出産に対する期待が奪われた体験》,《期待喪失に対する悲嘆反応》,《親役割の適応》,《普通の親子への希求》,《親役割獲得に必要なサポート》の5つのカテゴリーが抽出された。早産児の母親は, 育児の困難さに直面するたびに, 罪責感, 喪失感等の悲嘆を想起していた。このような悲嘆は, 育児に対する自信のなさやあせり, 苛立ちとなって育児行動に反映されていた。この状況に対して,《普通の親子への希求》は, 自分たち親子は特別ではないととらえることで早産した悲嘆を和らげ, 親役割に適応するために用いられた対処行動であった。具体的には, 早産したことに意味を見いだす, 子どもの健康な部分を見いだす, 他の母親と自己の体験を比較することが見いだされた。結論本研究の結果から, 早産児をもつ母親の親役割獲得過程の理解には, 時間経過のみならず,《期待に反する予期的悲嘆》,《親役割の適応》,《普通の親子への希求》の3カテゴリー間の関連を考慮する必要があることが示唆された。

Full Text
Paper version not known

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call