Abstract
抄紙機のドライパートで紙の乾燥の役割を持つドライヤーシリンダー,及びカンバスロールの抱える代表的な問題は表面への異物(湿紙,ピッチ等)の付着である。これら付着した異物が紙製品へ転移することで紙製品の重大な欠陥につながっている。従来からこれらのロールは鋳物等鉄製素材が採用され,表面処理としてクロムメッキ,テフロンコーティング,テフロンシート等が採用されてきた。また最近では異物付着対策としてロール表面への薬液噴霧等も採用されている。これら過去から採用されてきた対策品は客先の満足を十分に得るまでに至ってない。当社は20年以上前より上述の問題を解決すべく非粘着溶射TS-NSCをドライヤーシリンダー,カンバスロールに適用してきた。結果ロール表面への異物付着対策として大きな効果を発揮している。しかしドライヤーシリンダーへ溶射を適用するにあたりシリンダを取り外して施工することは高額な費用,長い施工工期が必要であり,効果が認めつつも普及には限界があった。当社では2015年9月に機上で施工可能な溶射皮膜DryOnyxHを市場へ導入し,現在までに50本超の施工実績を有している。非粘着性と耐摩耗性(ドクタブレードが常時使用可能)を兼ね備えた画期的な溶射技術として高い評価を得ている。ドライパートにおける品質問題の解決手段としての溶射技術であるTS-NSC,DryOnyxHは今後各製紙メーカー各社へ普及が進展してくと確信している。
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