Abstract

本研究では,心理的居場所感の有無という心の感覚が,抑うつ傾向に及ぼす影響について検討した。先行研究は青年期を対象としたもの(則定,2006,2008;杉本,2006)が多いが,本研究では25~49歳の独身男性事務系会社員344名に対してWeb調査を実施した。心理的居場所感については,中村・岡田(2016)を参考に,本来感・役割感・安心感,の3因子を想定し,そのような感覚を抱く場所が,自宅・職場以外に有か無かを問う項目とした。抑うつ傾向については「日本語版自己評価式抑うつ性尺度」(福田・小林,1973)を使用した。結果として,3因子について有無の組合せを変数(8群)とした分散分析の結果,特定の群間において5%有意な抑うつ傾向の差が確認された。さらに,本来感・役割感・安心感,を説明変数,抑うつ傾向を目的変数とした重回帰分析を実施した結果,影響は安心感(β=-.13, p=.054)よりも本来感(β=-.16, p=.037)で強かった(R2adj=.12, p<.001)。以上の結果から,自宅・職場以外の居場所は職場や自宅と異なり,期待外の環境変化に晒されることなく身を置くことが出来ることから,ここに,抑うつ傾向を軽減させる効果的なメンタルヘルスの一施策を得たと言えよう。

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