Abstract

臨床上もっとも使用頻度の高い吸入麻酔薬であるハローセンは, 重大な副作用として, 時に致死的でさえある肝障害を惹き起すことがある一方, ハローセンを用いて実験動物に肝障害を起させようという試みはこれまで成功していない. 著者はラットを用いてハローセンを経口, および皮下の2種の経路からくり返し投与することにより, 約2週間で再現性があり, 且つヒトにおけるハローセン肝障害と, 病理組織学的に類似した肝障害を起し得た. すなわち肝小葉の中心帯で肝細胞が変性消失し, その周囲に強い好酸性を示す濃縮した変性, もしくは壊死に陥った肝細胞を散見し, それは小出血とリンパ球や組織球の浸潤をともなっていた. その他の肝細胞では, 一部粗大脂肪滴をともなう脂肪変性と, 僅かの核分裂の増加を認めた. また血清GOT活性は無処置群, およびオリーブ油のみ投与の対照群とくらべ有意に増加していた.

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