Abstract

森林植生の樹種と流域の水流発生機構との関連性を明らかにするために,針葉樹林流域(1.29 ha)と広葉樹林流域(1.28 ha)において水文観測を行った.ヒノキ林プロットでは地表流の流出応答が大きく,個々の降雨ピークに応答して地表流の流出ピークが現れたが,広葉樹林プロットでは地表流の流出応答は非常に小さかった.各プロットともに土壌の最終浸透能(6.4と26.8 mm / 5min)よりも低いと考えられる降雨強度(4.0 mm / 5 min 未満)において地表流が発生したことから,その流出形態はヒノキ林プロットでは根系流(ヒノキ人工林の根系層を流れる選択的な表層流)であり,広葉樹林プロットでは落葉層をわずかに流れるリターフローであると推察された.総降水量100 mm以上の降雨イベント(P ≧ 100 mm)では,各流域の流出応答および‘Non-reacted water’の寄与量が顕著に大きくなり,大規模台風イベント(P:117.4 mm)では流出ピークの40~50 %は‘Non-reacted water’によって構成されていた.また,降雨イベントの規模によって各流域の‘Non-reacted water’の主要な構成成分は異なる可能性があり,大規模台風イベント時の針葉樹林流域では浅い側方流と根系流,広葉樹林流域では主に浅い側方流が‘Non-reacted water’として短期流出および流出ピークに大きく寄与していると推察された.

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